人生をより低迷させる旅コミ誌「野宿野郎」のウェブログです。
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これも愛それも愛みんな愛 その1
4号の特集のようなものに難航している編集部にこんなお便りが届きました。
ああ、すばらしきかな野宿愛。どんなんでも愛。
残念ながら僕はハートマークが飛び交うような野宿経験がありません。今も36歳独身、彼女なしです。
でも、野宿経験者だったら誰もが体験すると思われるいろいろな愛(親切)を受け取ったことはあります。
<ケースその1・立ち食いそば屋のおばちゃん(推定年齢55歳)の愛>
徒歩で北海道を歩いて野宿旅(無人駅で寝る)した時のこと。雨の中ズブ濡れになって歩いていました。食べるものもなく、ひもじい思いをしながら、歩く。しかし、ここは北海道のだだっ広い田舎道。コンビニもなく「うー、腹減ったよう。カツ丼大盛り食いたいなー」などと歩いていたら、改修中っぽい建物を発見。外にはやる気のない文字で「そば」の文字が。
雨は激しさを増し、横を猛スピードで走る車から上がる飛沫で、ほぼ風呂上りかと思うような濡れ鼠状態。ここは雨が小降りになることを祈ってそばを食おう。そうして店の中に入る。店は暖かく冷え切った体には非常にありがたい。そして注文を聞かれ、当たり前のごとく「かけそば」を頼む。たしか200円ぐらいだったのではないだろうか。とにかく暖かいものが食いたい。まもなく、おばちゃんが運んでくる。
ん?かき揚が乗っているぞ。量もすごい。それにそばではなく何故かうどんだ。「あのー、僕はかけそばを頼んだのですが」といったら、おばちゃんはにっこり微笑み「かけそばの値段でいいから」といって忙しそうでもないのに厨房へ入っていった。
L・O・V・E。これぞ愛じゃないかと思う。「うおーっ!おばちゃん好きだー(心の叫び)」もしおばちゃんが30歳若かったら間違いなく俺は恋に落ちただろう。俺は大盛りの天ぷらうどんをつゆまで飲み干し(愛を1滴残らず受け取り)、200円を払って店を出た。外の雨は小降りになっていた。 体だけでなく、心まで温まり、歩いては遠くなるそば屋を俺は何度も振り返った。
(北海道在住・KSさん)
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